五ヶ井用水を歩く(18):懐かしい風景(大野)

『大野史誌』(大野史誌編集編集委員会)に五ヶ井用水の「かつての風景」がある。 ・・・・用水路は、もちろん素掘りであった。溝端には草が茂り、水草が流れに揺れていた。この用水を「溝」といった。ここには、多くの小川の生物が住んでいた。

アメンボウ・メダカ・ミズスマシ・ゲンゴロウ・ミズカマキリ。

村の上の方には、フナ・コイ。

底にはタニシ・アメリカザリガニ・カワガニ・・・・。

溝は小川であった。

村の子どもは網を手に獲物を追った。夏には大溝(五ヶ井の幹線水路)にホタルが飛び交った。夕方、子どもは麦わらで編んだカゴっを提げてホタルを追う。捕ったホタルは、寝間につった蚊帳(かや)の中に放つのである。用水期は水がいっぱいに流れ、暑い夏の日盛りには、村の子どもは水浴びに興じる。「かつて」といっても、そう古い話ではない。

戦中・戦後の昭和の頃の溝筋の風景である。

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