五ヶ井用水を歩く(8)・五ヶ井用水と新井用水(2)

五ヶ井用水と新井用水(2)

黒く塗りつぶした池に注目してほしい。 これらの池は、新井用水から取水している池である。新井用水は、明暦二年(1656)に完成した。 それにともない、「新井用水に沿った池は不要になった」かというと、そうではない。新井郷は、もともと水の得にくい土地柄であった。 そのため、これらの池の水を確保するため「新井用水」がつくられたといってもよい。

用水が完成した後も十分な水はなかった。新井用水は、現在の五ヶ井用水と異なり、勾配がほとんどない。そのため、新井用水を満水にして水位をあげなければ、十分に流れてくれない。それに、「新井用水」は「五ヶ井用水」の取入口が同じである。従って、旱魃のときは「五ヶ井用水を優先させ、新用水の分水口をせき止める」という条件まであった。

池をつぶして、新田をつくるという余裕はなかった。新井用水と池が共に稼動して、はじめて新井郷の水は辛うじて確保されたのである。新井用水の北側の池(黒く塗りつぶしていない池)は、新井用水より土地が高いため、新井用水から取水することができなかった。

これらの池は、雨水や他の用水が水源になっている。新井用水から水を得ている黒く塗りつぶした多くの池は、記録にはないが古い時代につくられたようである

これに比べ、五ヶ井郷には池がない。五ヶ井郷は水を一時的にためておく必要のないほど水に恵まれていた。

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