高畑(加古川市平岡町高畑)の大西医院の玄関の横の道を北へ数歩いったところに立派な門がある。普通、農村にある門ではない。地元では、この門を「拝領の門」と呼んでいる。
ゴンベハン(昨日のブログ)の話であるが、物語として読んでほしい。
・・・・時は、江戸時代である。その日は夏の暑い日であった。
遅い時間に姫路をたった殿様の行列は、加古川に着いた。
「家来の者に心配をかけては・・・」と、誰にも話さなかったが、行列が野口村を過ぎ、高畑村にさしかかった頃である。腹痛で、その苦しみは普段とは違っていた。供の者はただオロオロするばかり。通りがかった者にたずねた。「医者なら、ゴンベハンがおられます」と百姓は答えた。
さっそく、ゴンベハンは薬を調合して殿様にさし上げた。しばらく、涼しいところ休んでいると、先ほどの腹痛がうそのように治った。
行列は、昼を過ぎて何もなかったかのように進んでいった。
そんなことがあって、数日たったある日のことである。殿様の使いが「先日はお世話になった。お礼に望むものはないか・・」と殿様の言葉を伝えるための訪問であった。この時、ゴンベハンは、門の建設を願った。これが「拝領の門」であるという。

