加古川の戦争(23):血染めの書「断」

加古川飛行場からの「特攻」については、以前ブログ(6月14日)で取り上げたので、参照ください。

記述は一部重なります。加古川飛行場(加古川市尾上町)に降り立った特攻隊員は、中村旅館(県道小野線の国道2号線と寺家町商店街の中ほどで、道路の西側にあった)に宿泊した。中村旅館は、戦時中陸軍の指定旅館だった。加古川から知覧(ちらん・鹿児島県)へ飛び、そこから特攻に出撃した。

特攻隊員にとって、中村旅館の夜は、最後の安息の場所になった。その夜、特攻隊員は、お互いに、何を話たりあったのだろう・・・当時の様子を知る人の話では、「特攻の話などは全くなく、不思議なほどでした」と話しておられる。隊員たちは、遺品を残された。写真の「断」とかかれた血染めの書もその一つである。

誰かに宛てた書ではない。

「断」は、何からの断であろう。この世からの「断」であろうか。家族、あるいは恋しい人からの断であろうか。すべてからの「断」であっただろう。最後に書いた「断」は、彼の足跡をとどめている。

*特攻隊員の多くの遺品は、鶴林寺で保存されている。

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