今日の「加古川の戦争」は、高砂市からの話題である。
童謡「月の砂漠」の作曲で知られる、佐々木すぐるは、明治25年、高砂市阿弥陀町魚橋で生まれた。彼は、東京音楽学校(現:東京芸大)を卒業すると、子供の歌の作曲と青い鳥合唱団を主宰した。しかし、大正デモクラシーの運動と軌を一にした童謡運動もやがて、軍国主義の前に、そのエネルギィーを失い、すぐるは、童謡運動からはなれ、戦争に協力させられた。敗戦も近い昭和20年、彼は「お山の杉の子」を作曲した。
この歌は、戦後歌詞の一部が改作されて今に残るが、元の6番は次のようであった。
今に立派な 兵隊さん 忠義孝行 ひとすじに
お日さま出る国 神の国
この日本を 護りましょう 護りましょう
昭和20年、日本はポツダム宣言を受諾し終戦。新しい憲法が作られ、日本は戦争の放棄を世界に高らかに宣言した。先生たちは、戦前戦争に協力したことを反省し「教え子を再び戦場に送らない」ことを誓いあい、日本教職員組合を結成させた。
佐々木すぐるは、この時「日本教職員の歌」の作曲を引き受けた。

*写真は、童謡「月の砂漠」の記念碑(高砂市阿弥陀町魚橋正蓮寺の山門横)
